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今日もらくがき!

2015年04月30日 20:18

 昨日は、機動警察パトレイバーの劇場版をやっていたので、ついつい観てしまいました……!

 やはり後藤隊長はカッコいい!!

 へらへらしていたかと思うと急に真顔になって「いいワケないじゃないの……」という辺りが、オトナだなぁという感じです☆

 そして戦闘機と管制のやりとりに登場した「トレボー」というコードネームになんとなく聞き覚えがあり、

「ワイバーンとセット……? 竜の名前……? いや、ちゃうわ、それはイエボーや」

 と、余人にはよく分からないことをブツブツ呟いていたアウローラでした(←ちなみにイエボーは『ゲド戦記 影との戦い』で、若きゲドが対決した竜の名前です)

 ちなみに、トレボーは狂王さんのお名前でした。(←昔読んでいたTRPG関係の書籍でチラッと見かけたことがあるだけで、深くは存じ上げないのであった)

 ――まあそんな感じで(?)  パトレイバーをご存じない方には何のことやら不明な話はさておき……

 今日もらくがき!

IMG_20150429_203626.jpg

 つぶらな瞳のおっちゃん。

 珍しく中年男性を描いてみることにしたのですが、自然なしわの描き方がよく分からなかった……(汗)

 というか、単に若者の顔を描いて、ヒゲとしわを描き足しただけなので、どことなく若々しい(?)感じに。

 真におっちゃんの顔を描けるようになるまでには、どうやら長い修行が必要みたいですよ……

IMG_20150429_203542.jpg

 多分、上のおっちゃんの奥方。

 最初は全然関係なく描いていたのですが、完成してみると、どうも御夫婦のような気がしてならなかったので、そういうことに。(←神託)
 
 こうなったらもう、オデュッセウスさんとペネロペーさんということにしておこう。(←勝手に)


 というわけで(?) 今日のところはこのへんで!

 下記事に拍手、ありがとうございました☆(拝)

 また次回の記事で、お目にかかりましょう~!! 
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庭の王国への旅 22

2015年04月29日 19:33



               *               *

 老いも若きも、男も女も、とにかく音楽にあわせてひたすらに踊って、踊って、踊りまくった。

 疲れたらテーブルのところへ行き、山盛りに用意された食べ物をどれでもつまんで、酒やお茶やジュースを飲み、それからまた踊るのだ。

 集まっている人々の数はますます増え、話し声と歌声と音楽が渾然一体となって周囲のぐるりから押し寄せる。

 その中で踊っていると、不意に、心がすっかり空洞になって、音とリズムと鼓動とがひとつにとけ合ったような感じが訪れた。
 
 光る影絵のような世界が、ぐるぐると回転している。

 音楽が変わり、踊りが変わった。

 人々は誰でも手近にいた人と手を取り合い、二人組になってぐるぐると回った。

 曲の切れ目で、ぱっと手をはなし、また次の相手と手をつないで踊る。

 見知らぬ相手であっても気にならなかった。

 息が上がり、腕と足がくたびれてきたが、音楽が終わるまではやめようとは思わなかった。

 汗が流れて髪の先から飛んだ。

 人々が振り上げる腕の先で手のひらが光るようだった。

 やがて、少しずつ辺りが暗くなってきた。

 あたりにかぐわしい香りをふりまいていた香料入りの蝋燭は次々と燃え尽き、闇に場所をゆずった。

 すると今度は、盛大なかがり火がひとつ焚かれた。

 潮が引くように音楽が静まり、人々は息を荒らげ服の胸元をつかんでばたつかせながら、テーブルに用意された飲み物に群がった。

 ケンタウロスたちは、馬体から湯気をたて、大きな桶に入った水をがぶがぶと回し飲みしている。

 飲み物を取り、それを一息に飲み干し、おもむろにおかわりを手にした人々は、三々五々、かがり火のまわりに集まってきた。

 老人も喘ぎながらどうにか冷たいお茶を手に入れ、かがり火のそばの、地面の空いている場所に座り込んだ。

「ああ!」

 不意にそんな声がして、誰かがどすんと真横に腰を下ろした。

 老人が驚いて見上げると、それは旅人だった。

「風祭りに加わるのは初めてだが、これほど盛り上がるものだとは。
 すっかり、息が上がってしまった。」

 旅人の頬には赤みがさし、顎の線を汗が伝っていた。

 大勢で激しく踊れば誰でもそうなるものだが、彼も物静かなこれまでの態度とは打って変わって、すっかりにこやかに、饒舌になっていた。

「踊っている最中に、あなたのことも何度かお見かけしたが、なかなか堂に入ったものでしたな。」

「なに、見よう見まねで。
 そういうあなたの踊りも素晴らしいものじゃった。」

「どうも。――ところで、お嬢さんは?」

「ああ。」

 老人はようやく、星の娘のことを思い出した。

 相手が激しく入れかわる踊りの中で、あの銀色の長い髪をちらりちらりと見かけたように思ったが、彼女が今どこにいるのかは分からなかった。

「どこかには、おるでしょう。後で――」

 言いかけたとき、先程までとは違った音楽が鳴り響き、かがり火のまわりに、エレクトラと騎士たちが輪になって立った。

 湧き起こった喝采に礼で応えた彼女たちは、兜はかぶらずに、ぴかぴか光る鎧を身にまとい、それぞれの長大な槍を携えていた。

 音楽が跳ね上がるように高まり、槍の舞が始まった。

 10人をこえる騎士たちが、まるでひとりの人間を合わせ鏡に映したように、完璧にそろった動きで槍を振り回す。

 ところどころに、となりの者が振るった槍の穂先を跳び越えてかわすところもあり、そんな場面では悲鳴のような声と、割れんばかりの拍手があがった。

 互いの動きが少しでもずれれば、腕が飛んだり、耳が落ちたりといった大怪我が起きてもおかしくない危険な舞だ。

 誰もが固唾をのんで、激しく舞う騎士たちの動きを見つめた。

 危険だからこそ美しく、そこに流れる研ぎ澄まされた空気が人々を魅了した。

 炎をかき立てるように音楽が最高潮に達した瞬間、騎士たちは寸分違わず槍の穂先を天に突き上げた。

 舞が終わったのだ。

 歓声が爆発し、見ていた者たちは次々と立ち上がって騎士たちに駆け寄り、握手を求めたり、肩を叩いたりした。

「酒――いや、茶を!」

 エレクトラが、滝のように流れる汗をぬぐいながら呻いた。

 まだ半分ほど残っていた茶をとっさに老人が差しだすと、彼女はそれを引っつかみ、息もつかずに飲み干した。

「ああ、美味い! 槍の舞の後に飲む一杯が、この世で最も美味い飲み物だ。
 我らの舞はどうだったかな?」

「素晴らしいものでした。」

 老人は心の底から言った。

「鍛錬の賜物ですな。」

「その通りだ。毎年、この一夜のために、稽古を積み重ねる。
 無論、訓練のあとに稽古をするというのは、生半可なことではないが、我が部隊の伝統だからな。」

 エレクトラは満足げにそう言い、「ではまた後で。」と、騎士たちとともに一息つきに去っていった。



【庭の王国への旅 23へ続く】

本当にまったく無意味な……

2015年04月27日 22:05

 らくがき!

IMG_20150426_010547.jpg

 誰ともつかぬ男性。

 眉毛が凄い。

IMG_20150426_010829.jpg

 やはり誰ともつかぬ女の子。
 
 眉毛が上過ぎた!

 ……どうも今回のアウローラのらくがきは、眉毛のあたりに課題があったようです(笑)

 いや他ができているというわけではないが。

 ちなみに、そのへんにあるノートにペンでらくがきをし、スマホで撮影し、加工で「罫線」を飛ばすのがわたくしのやり方です。

 左端の方に残っている謎の線や点は、そのなごりです(笑)

 決まった人物をサラサラと描けるようになればいいのですが、特定の人物を描こうと思うと、かかる時間も気合いも数倍に跳ね上がりますので、ちょっとした気分転換には、やはり誰ともつかぬらくがきレベルがちょうどいいのでした。

 さて、地上ではなんだか気温も上がって参りまして、新年度の猛ダッシュの疲れも出てくる頃合い!

 新茶の発売を楽しみに、日々の怒涛を乗り切っているアウローラでした(?)

 皆さまも、お身体大切に……!!


 それでは、本日のところはこのへんで。

 下記事に拍手、ありがとうございました!(拝)

 また次回の記事で、お目にかかりましょう☆
 

庭の王国への旅 21

2015年04月24日 21:54


      *                *

 それから3人は花畑に行き、日が中天にかかり、傾きはじめるまで、そこで過ごした。

 星の娘は咲き乱れる花のなかにしゃがみこんで、髪を耳にはさみ、あれこれとしゃべりながら、花輪や花束を次々とこしらえた。

 老人は、そばの石に腰をおろし、星の娘の言うことにあいづちを打ったり、あたりの景色を眺めたりした。

 旅人は花畑をぶらぶらと歩き回り、気になる花を見つけるとかがみこんで香りを確かめ、しまいには、ちょうどいい木陰を見つけて横になり、昼寝をはじめた。

 そうこうしているうちに、オニユリが慌てて走ってきた。

「悪い、悪い! ちょっと横になるつもりが、ぐっすり寝込んじまってさ。
 簡単なもんだけど、昼飯ができてるよ。
 食べおわったら、祭りの準備を手伝っておくれ!
 あっ、もう、飾りを作ってくれてるじゃないか。」

 3人は、星の娘が作った山ほどの花輪や花束を持って、オニユリの小屋に戻った。

 オニユリが言った「簡単なもん」とは、かたく焼き締めたパンを一口大に割って、コケモモのジャムをたっぷり塗りつけたものだった。

 騎士たちとエレクトラはとっくに目を覚ましていて、パンをかじりながら、そこらじゅうの木から木へと、白っぽい紙風船のようなものをたくさんつけたロープを張り渡していた。

「祭りのための灯りだ。」

 はしごの上から、エレクトラが言った。

「香料をまぜた蝋燭を入れてある。
 火を灯したところは、それはそれは美しい眺めだ。
 ――おい、おい、そこ! 違うぞ、そっちの木じゃない。」

 エレクトラはあっという間にはしごから飛び降り、部下たちの方へ走っていってしまった。

「オニユリ。あたしたち、何をすればいい?」

「そうだな、じゃあ、テーブルに花を飾っておくれ。
 それがすんだら、これを、そこらじゅうにぶら下げておくれよ。」

 オニユリが、真鍮の板を切り抜いてきれいな星の形にした飾りを引っ張り出してきた。

「それから、お客さんたちは、騎士たちの手伝いを頼むよ。
 暗くなるまでに、林じゅうに灯りをともさなきゃならないから。」

 こうして、星の娘がせっせと花や星を飾るあいだに、老人と旅人は、騎士たちと共に林じゅうに灯りをぶらさげることになった。

 そうこうするうち、小屋のまわりに、だんだん人が増えてきた。

 まず、ケンタウロスたちがやってきた。

 がらがらと分からない言葉を話しながら集団でやってきた彼らを見て、星の娘などは少しぎょっとしたのだが、オニユリや騎士たちは少しも動じず、
「やあ、どうも。」とか、
「草原の民よ、久しぶりだな。」とか、
「ここ、手が届かないんだ。悪いけど背中に乗らせてもらえないかな。」とか、気軽に話しかけた。

 ケンタウロスたちは、頭に草を編んで作った冠をかぶり、これも草を束ねた飾り物を手に手に持って、それをしきりに振り回しながら、がらがらと歌をうたった。

 次に、〈流れたり流れなかったりする川〉の番人の男の子が来た。

 この前と同じ服を着て、髪もあいかわらずぼさぼさだった。

 星の娘は彼に声をかけようとしたのだが、それよりも早く、

「あっ、兄貴! お早いお帰りだったな。」

 と、オニユリが横から嬉しそうに叫んだ。

「おう。」と、愛馬《稲妻》のたづなを引いた鎧姿の騎士が、片手を挙げた。

 彼の後ろには、ふだん着姿の人々がぞろぞろと続いていた。

 彼がこれから行くと言っていた、村の人々らしい。

 村の人々は、手に手に大きな皿やかごを持ち、その中は料理や果物や、飲み物のびんでいっぱいだった。

 リュートのような弦楽器や、笛や、小さな太鼓を持っている人もいた。

「まさか、こんなに早く東風が来るとは思わなかったぞ。
 結局、戦友の見舞いにも、まだ行けていない。」

 人々の先頭で、騎士がそう言い、

「これなら、ここに泊まっていったほうが良かったんじゃないか?」

 とオニユリが言った。

「まあな。ほとんど折り返しになってしまった。
 だが、良かったこともあるぞ。」

 騎士は稲妻の背を見上げた。

 稲妻の背の鞍には、川で裂け目に落ちた男の子が、くじいた脚にきちんと包帯を巻かれてまたがっていた。

「ちょうど俺が村にいるうちに、魔女からの知らせが来たのでな。
 この子を乗せてきてやることができた。」

「そうか。でも、その足じゃ踊れないだろ。」

「いいんだ。」

 オニユリの言葉に、男の子が答えた。

「ぼく、みんなが踊るのを見てるだけでもいい。」

「まあ、また来年もあるもんな。」

 オニユリは簡単にそう言うと、「あっ、そろそろ暗くなってきた。」と木々のあいだを見上げた。

「エレクトラ! そろそろ、灯りをつけよう!」

「よし!」

 集まった人々のあいだから、エレクトラが叫んだ。

「皆、火をともせ!」

 騎士たちがオニユリの小屋のかまどから火を取り、あちこちではしごや台に登って、白い紙風船の中のろうそくに灯りをともしていった。

 薄暗かった林の中に、赤みがかった金色の光があふれた。

 同時に、何ともいえずよい香りが漂い始めた。
 
 蝋燭に混ぜてあるという香料の香りだ。

 そのとき、まったく突然に音楽が鳴り出した。

 最初の一音は、誰かが爪弾いた絃の音で、そこに、次々と他の楽器が加わり、たちまちひとつのメロディを織りなしていった。

 そして、集まった人々が踊り始めた。

 祭りの開催の宣言も、挨拶もなく、風祭りは、何が風祭りなのかもよく分からないままに、いきなり始まったのだ。
 
 老人は驚いて、踊る人々を眺めた。

 腕を軽やかに動かしながらくるくる回り、ぴたっと止まっては、独特のリズムで足踏みをする。

 振りつけは単純なものだったので、しばらく見ているあいだに、だいたいの動きは飲み込めた。

 星の娘が、老人のそばで、うずうずと体を動かしはじめた。

 かかとでとんとんと地面を打ち、音楽にあわせてリズムをとっている。

「さあ!」

 オニユリが、服の裾をひるがえしてくるくると回りながら、手を伸ばした。

「踊ろう!」

 星の娘は、待ってましたとばかりに、踊りの渦の中に飛びこんでいった。

 向こうでは、いつのまにか、旅人が踊っている。

 粗末な旅姿に似合わない優雅な身ごなしは、彼の本当の身分を明かしているかのようだ。

 足に包帯を巻いた男の子は、テーブルのそばの椅子に座って、音楽にのって体を揺らしている。

 エレクトラや騎士たちも踊りの輪の中にいた。

 ケンタウロスたちは、そろって高く跳びあがっては、四つ足で複雑なステップを踏み、音楽の切れ間にあわせて雄叫びのような合いの手を入れた。

「さあ、さあ、さあ!」

 オニユリが手を差し伸べて叫び、とうとう、老人も腕を振って踊り始めた。



【庭の王国への旅 22へと続く】

神託?

2015年04月23日 21:18

 本日の朝、地上における業務の現場に向かって歩いていたら、交差点を渡りかけたところで、急に右側のほう(←そう思った)から、

「あなたがその物語を語らなければ、誰が語るのですか?」
 
 と問い掛けられた感じがしました。

(もちろんリアルに通行人の方が話しかけてきたのではなく、わたくしの心の中で起きていたことですよ!)

 急だったのでびっくりしましたが、わたくしは反射的に心の中で答えました。

「わたくしです。他に誰がするというのでしょう?」

 ……これはどうも神託というか、はよ書けよという、わたくしへの発破……(汗)

 振り返ってみれば、6番ゲート『ソードべアラー』が完結して以来、メインゲートもサブゲートも全く確定作業が進んでおりませんからね!

 わたくしの今年の目標は、メインゲートの物語を少なくともひとつ完結させることですから、そうのんびりもしていられません。

 ――とはいえ、アストライアさんと謎の老人氏がターミナルに帰ってきてくれないことには、なかなか思うように作業が進まないんですけど……

 特にアストライアさん……ちゃんと帰ってきてくれるんだろーか……?(汗)

 物語の時空の進展のためにも、ふたりの旅の無事を祈っておきましょう!


 そのようなわけで(?) 今日のところはこのへんで。

 下記事に拍手、ありがとうございました!(拝)

 また次回の記事で、お目にかかりましょう☆

生きておりますよ!

2015年04月19日 20:21

 地上における「新年度」の地味~な忙しさにとらわれて、なかなか出現することができなかったアウローラです(笑)

IMG_20150419_200418.jpg

 何の脈絡もなくらくがき。

 本当に何の脈絡もないので、誰なのかは不明です(笑) 相変わらずの神託クオリティ。

 話変わって、本日は、ギンコさんの庭で植物のお世話を手伝ってきました!

 根詰まりしまくっていたオリヅルランと、アロエの仲間を株分けし、ナンテンの若木を植え付け、ビオラの花ガラを摘み――

 ここ1年ほど、環境改善に力を入れて取り組んだ成果が出て、以前は中世の暴君の城みたいだったギンコさんの家の玄関先も、今では近所の人から「いや~いつもキレイにしてはって、ええお花見さしてもろてますわ~」とのコメントをいただけるレベルにまでなってきています!

 この調子で「手入れされている感」をキープしていけるといいですね……!

 そしてわたくしは時空確定者としての任務も、少しずつ進めていかねば!

 新年度は、あれこれと忙しいことも多いですが、慌てず焦らず、少しずつやっていきたいと思います☆


 それでは、本日のところはこのへんで!

 下記事に拍手、ありがとうございました☆(拝)

 また次回の記事で、お目にかかりましょう~!! 
 

ヘリオスとギンコの植物日誌

2015年04月13日 20:41

ギンコ「すっごい久々だね。」

ヘリオス「そういえばそうだな……(汗)
 何しろ冬のあいだ、地上の植物はほぼ冬眠状態で、何もお伝えすることがなかったぜ!

ギ「けど、ようやく春、そして初夏……
 植物たちが動き出す季節がやってきたよ!」

IMG_201504a.jpg

ギ「まずは、新顔のハーブの紹介だよ。
 こいつはクリーピング(匍匐性の)タイムの仲間で、葉をこすると、爽やかないいにおいがするんだよね~。
 朝がたには、触れなくても、空気に香りを感じるほどだよ」

へ「アウローラさんが、ハーブの中で一番好きなヤツだな!」

ギ「一番好きな理由は、古代ギリシャで相手を讃えるときに『タイムの香りがする』っていう言い回しがあったから……らしい」

へ「好きになる理由が、よく分からねーな!」

IMG_201504b.jpg

IMG_201504c.jpg

へ「ギボウシ兄弟だな」

ギ「アタシらが勝手に兄弟って言ってるだけなんだけどね……
 こいつらはどっちも、アウローラさんが地上の同僚からいただいてきたものさ」

「同僚から鉢植えをいただくか、普通……??」

ギ「アウローラさんの植物好きは、職場でも有名らしいよ。
 紫色の、香りのいい花が咲くっていうんで、楽しみだね!」

IMG_201504d.jpg

ギ「一年前、全体的に茶色くなって、アタシとアウローラさんがバッチバチに剪定したら見事に復活したヒイラギ」

へ「完全復活してるじゃねーか!」

ギ「アタシは、このヒイラギの一件があってから、それまでの無剪定主義を撤回したよ!
 やっぱ、植物を育てるには、手を入れていくことが必要なんだってことがよーく分かった」

へ「ヒイラギが、偶然、剪定に強い植物で良かったなぁ……(笑)」

IMG_201504e.jpg

ギ「ヒイラギの背後にチラッと見えてた、ムスカリ

へ「下の花がちょっと終わりかけてるが……なかなか綺麗に咲き揃ってるな」

ギ「アタシ、この花を見るたびに『目が……目がァ!』ってフレーズを思い出しちまうんだけど」

へ「それは……ムスカ大佐のことを言ってるんだよな、多分……?(汗)」

IMG_201504f.jpg

「名前のわからん多肉植物」

へ「おおっ!? なんか……近未来的な感じがするな! 植物だけど」

ギ「冬場は、もっと葉がぎゅっと閉じてたんだけど、最近あったかいからなのか、開放的になってきたみたいだよ。
 あと、こいつらの生命力がホントに凄くてさぁ、伸びて広がったぶんをバチバチ剪定して、地面に撒いたら、全部根付いた

「なぜ地面に撒く!?」

ギ「いや~、多肉植物は殖やしやすいって聞いたもんだから」

へ「庭がコイツらで全面埋まったら、どーすんだ……(汗)」

IMG_201504g.jpg

ギ「アウローラさんが去年の秋に植木市で見かけて買ってきたユーカリ

へ「もはや庭のテイストが完全に行方不明じゃねーかよ」

ギ「コアラが食う植物だから、オーストラリア、暑い――ってイメージがあって、大丈夫か? と思ったけど、無事に戸外で越冬成功したよ~」

へ「心配してても戸外で越冬させるんだな」

ギ「ラケダイモン式栽培ってやつさ」

へ「どんな栽培だよ!」

IMG_201504i.jpg

ギ「そして同じく越冬組、アタシらのあいだではお化けアサガオとして有名な、ケープタウンブルー

へ「で、出た……(汗) しかも越冬してやがるよ……」

ギ「つるを巻きつかせたまま越冬させたから、今年はさらに領土を広げていくと思うよ」

へ「ご近所さんに迷惑だけはかけるんじゃねーぞ!!」


ギ「――ま、こんな感じで、梅雨時までは順調にいきそうだね~」

へ「なんか……だんだん世話が手慣れてきた感があるよな、おまえも」

ギ「まあねえ。こないだはアウローラさんと一緒に、例の溝の雑草をまたまた一掃して、スッキリさせたし。
 おかげでアレ以来、ポイ捨てもなくなったよ!」

へ「やっぱ、手入れされてる感ってのが大事なんだろうな。
 ――ま、これからも頼むぜ! オレも時々、デカい植え替えの時とかに、手伝いに来るからよ」

ギ「よろしく頼むよ~。
 じゃ、まあ、そういうことで、今日のところはこのへんで。
 また次回の記事でも、よろしくね~」

庭の王国への旅 ⑳

2015年04月06日 21:07

       *               *


 行ってみると、騎士たちはもう翼を外してそこらの木にかけ、鎧兜も一式脱いで身軽になり、きちんと並んで隊長を待っていた。

 何人かが走ってきてエレクトラの槍と兜を受け取り、そこらじゅうにある複雑な革帯を解いて、翼を外し、鎧を脱がせた。

「よーし、みんな、こっちに並んでくれー!」

 オニユリが真っ黒な鉄のフライパンをガンガンと打ち鳴らして叫んだ。

 みんなは一列に並び、あつあつの濃厚なシチューをお椀にいっぱい受け取った。

 騎士たちのうち、ある者たちは、手際良く分担して新鮮な果物、野菜のサラダ、焼いた干し魚、厚焼きのクレープ生地に似たものなどをテーブルの上に並べていった。

 またある者たちは、大きなやかんからオニユリ自慢の《元気の出るお茶》を注ぎ、湯気をたてるカップを次々と並べていった。

 全員が一刻を争うようにガタガタと音を立てて席につき、オニユリが「どうぞ!」と言うと、騎士たちは「ありがたい!」と叫んで、猛然と食べ物をかき込みはじめた。

「――おかわり!」「俺も!」「こっち、二人、いや三人分!」

「お前たち、味わって食え。」

 呆れたように言ったエレクトラも、その10秒後には「私にも。」と椀を差し出した。

 厳しい訓練を終えたばかりの騎士たちの食欲はすさまじく、大鍋にいっぱい入っていたはずのシチューも、その他の料理も、ほとんど魔法のような速さで消えてなくなった。

「よし、よし。」

 オニユリはふらふらしながら、満足そうに頷いた。

「徹夜で支度した甲斐があったよ。
 あたしは、ちょっと『ゆりかご』で横になってくるからね。
 食後のお茶はそこに用意してあるから、どうぞ。
 悪いけど、洗い物は自分たちでやってくれ!」

 さすがに走る元気がないのか、オニユリはゆっくりとハンモックの小屋のほうに歩いていった。

 ひとりの騎士が立ち上がり、食後のお茶を注いで回った。

「うん、うん。」

 エレクトラはカップを両手で持って深く香りを吸い込み、この上なく満足そうな顔をした。

 それから、騎士たちの食べっぷりにつられてあっという間に朝食を平らげてしまったこちらを、カップのふち越しにじっと見た。

「君たちは、旅人か。
 若いし、なかなかいい面構えをしているな。
 どうだ、君たちも翼の騎士団に入らないか。
 言った通り、訓練は厳しいが、そのぶん、訓練の後の飯は格別にうまい。」

 そう言って、エレクトラはにやっと笑った。

 それで、冗談で言っているのだと分かったが、彼は、いまや自分が軍隊に勧誘されるような歳に見えるのだということを思い出し、先ほどの動揺が急によみがえってくるのを感じた。

「わし、……いや、」

彼は口ごもり、それから、慎重に言った。

「こんな歳でも、ものになりますか。」

「若いうちに始めなければ、飛び方を身につけることは難しい。
 だが、君くらいの歳ならばまだまだ大丈夫だ。」

「あたし、やってみたい!」

 星の娘が、目を輝かせて言った。

「翼をつけて飛んでみたいわ。
 タカみたいに空を飛べるようになったら、どんなに気持ちがいいでしょう。
 風に乗って、どこまでも行きたいわ!」

「こらこら、そういうわけには、いかんよ。」

 彼は慌てて言った。

「訓練にはとても時間がかかると、今、聞いたところじゃないか。
 とても、そんなに長いあいだ、ここにはいられない。
 アウローラさんのところに帰らねば。」

「どうして?」

 星の娘は、口をとがらせた。

「アウローラさんのほうが、ここに来ればいいんだわ!
 アウローラさんは、もともと、ここの人なのに、どうして帰ってこないのか、あたしにはわからないわ。
 今夜のお祭りが終わっても、あたし、ずっとここにいたい。
 この国はほんとに素晴らしいところだもの。
 景色もいいし、楽しいことがたくさんあるし。」

「アストライアくん……」

 彼は、昨日、眠る前に感じた漠とした不安の正体を、ようやくはっきりと見た。

 この国は、かつてひとりの少女が築き上げた、理想の王国だ。

 光あれという言葉によって世界に光があるようになったのと同じで、その少女は自分の望みを物語として語り、王国は、そのようになった。

 彼は、若々しい張りの戻った、自分自身の手の甲を見つめた。

(いつまでも……物語の世界で、楽しく、心おどるような日々を……)

 それを素晴らしいことだと感じる心が、彼の中にもある。

 望まない義務を何ひとつ負うことなく、望まないしがらみからは完全に解き放たれて、美しく雄大な景色を見、気持ちのいい人々と交わり――

 心のまま、思うままに、物語の世界に遊んでいることができたら。

(じゃが、アストライアくん……
 いくつもの素晴らしい物語が、そうではないのだということを、わしらに語っておるではないか。
『ピーター・パン』や、『とぶ船』、『くまのプーさん』――そして『はてしない物語』――
 アウローラくんが愛する、それらの物語の話を、君も前に聴かなかったかな?
 物語の国は、永遠にとどまることのできる場所ではない。
 本当にこどもの頃は、永遠にそこにいられると思うが、そうではないのじゃ。
 わしらは、もう、おとななのじゃ、アストライアくん。
 物語の国は、永遠に在り続けるけれど、わしらは、そこを訪れ、そして、帰っていかなくてはならん――)

 彼は、哀しげに、だが断固としてかぶりを振った。

 彼の肌に、次々としわが刻まれ、しみが浮かび、黒髪から色が抜け落ちて灰色になった。

 誇らかに伸びていた背が曲がり、輝かしい若さが去って、彼は、もとの老人の姿に戻っていた。

 それを誰もが見ていたが、誰ひとり、それを奇妙なことだとは思わなかったようだった。

「ねえ、どうして、帰らなくちゃならないの?」

 幼い姿のままで、星の娘が、くちびるをとがらせて言った。

 不意に、エレクトラがそれに答えた。

「かつて、あの方も、帰っていった。
 おそらく、君たちは皆、そうしなくてはならないのだ。」

 星の娘は、不思議そうにエレクトラを見た。

 老人は、驚いてエレクトラを見つめた。

 騎士たちは、いったい何の話が始まったのかと、興味深そうに隊長の言葉に耳を傾けた。

「あの方って、誰のこと?」

 星の娘が訊いた。

「君たちが話していたのは、」とエレクトラは言った。

「この王国の、一の女王陛下のことだろう。
 名は存じ上げなかったが、私は昔、陛下にお目にかかったことがある。
 いや、それだけではない。
 この王国の空を一緒に飛んだこともある。
 私たちは、友だちだったのだ。
 ずっと昔のことだが。」

 誰も、何も言わず、全身を耳にして、エレクトラの言葉の続きを待った。

「ある日、あの方は、もう自分がこの国を訪れることはないだろうと言った。
 私はさびしかったが、引き留めはしなかった。
 時が来たのだ。
 この国に生きる私たちは、永遠に年老いることがない。
 だが、あの方は違った。
 あの方はこの国に生きると同時に、外の世界にも生きていて、外の世界に命を持つ者は、こどもから、おとなになる時が必ず来るのだ。
 私たちは、女王たちの庭で別れた。
 その庭は、遥かな天空の高みにあって、普通の手段ではまず行きつけない。
 あの方は秘密の道を通ってその庭にのぼっていったが、私はその道を知らなかった。
 だから私は、この翼をつけて嵐の中に飛び込み、渦を巻く風の力で、女王たちの庭までのぼっていったのだ。
 あの方は、今にもゆこうとしていたが、私を見つけて驚き、とても喜んだ。
 あの場所で見た芝生の青さ、噴水の水のしぶき、澄みきった空――
 私は、永遠に忘れぬ。」

 エレクトラは微笑んだ。

 彼女の心の中にある、誰も見たことがないその場所の風景が、それぞれの胸の内に鮮やかに描き出されていった。

「これまで、あの場所に至ったことがある者は、歴代の3人の女王と、庭の守り人たちを除けば、この私だけだ。
 だが、君たちはおそらく、あの場所を見つけるだろう。」

 星の娘は、長いこと黙って考えていたが、やがて、

「その場所、とてもきれいだった?」と訊いた。

「最高の空だった。」

 エレクトラはそう言い、星の娘の頭に手を置いた。

「君も、あの空を見るだろう。
 そして、その光景を、生涯忘れることはないだろう。」

 彼女はそう言うと、不意に手を引っ込め、口をおおい、大きなあくびをした。

「すまんな。私もさすがに限界だ。少し寝る。
 おい、お前たちも眠っておけ。特別に不寝番はいらんぞ。」

「俺がいるからな。」

 いつの間にかやってきていた雪の王が、老練の兵士どうしが再会したときに見せる気安さで、エレクトラと騎士たちに頷きかけた。

「空の戦士たちよ、久しぶりだ。
 ここでは、見張りは俺にまかせて、ゆっくり眠るといい。」

「おお、ありがたい。」

 さっと席を離れ、手分けして洗い物を片付けていた騎士たちは、最後の椀を拭き終えると、そこらじゅうに生い茂って分厚いクッションのようになっているクローバーの上に次々と横になり、たちまち眠りはじめた。

「おやすみ。」

 エレクトラも、木陰のクローバーのクッションの上に寝そべり、深く息を吐くと、すぐにぐっすりと眠り込んでしまった。

「みんな寝ちゃった!」

 星の娘が、呆れたような、面白がるような調子で言った。

「でも、あたしはちっとも眠くないわ。
 ねえ、さっきオニユリさんが教えてくれたんだけど、あっちに行ったら、花畑があるんですって。
 行って、遊びましょうよ。」

「そうか。」と、それまでずっと黙っていた旅人が頷いた。

「では、俺も行ってみよう。」

「やった! みんなで行きましょう。ねえ、いいでしょう?」

「ああ、そうじゃな。」

 老人は微笑んで、頷いた。



【庭の王国への旅21へと続く】

庭の王国への旅 ⑲

2015年04月04日 12:44

           *                *


 まったき無のような眠りから、彼はふと目覚めた。

 どれほど時間が経ったのかすぐには分からなかったが、天井や板壁の隙間がごく淡い光の線のように見えて、夜明けが近いのだと思った。

 慣れないハンモックで眠ったというのに、体はどこも痛くなかった。

 それどころか、若いころ思うさま熟睡したときのように、疲れも眠気もさっぱりと吹き飛び、近頃では味わったことがないような爽快な気分だった。

 彼は首をひねり、となりで眠っているはずの星の娘の姿を確かめようとした。

 そして、そこに、もはや彼女がいないことを見出した。

 旅人の姿もなかった。

 しぼんだ繭のようなふたつのハンモックだけを残して、ふたりはいなくなっていた。

 彼は慌てて――といっても、ハンモックから転げ落ちないように用心することは忘れず――地面に降り、手探りで小屋の戸を押し開けた。

 急いで歩き出そうとした途端に、戸にぶつからないぎりぎりのところで丸くなっていた雪の王を踏ん付けそうになり、彼は声も出さずに飛び上がった。

 雪の王はたちまち片耳を立てて薄眼を開け、ごろごろと唸るような声で言った。

「あの娘っ子と男は、もう、畑のほうへ行ったぞ!」

「――オニユリさんは?」

 思わずそう訊ねると、雪の王は目をつぶりながら答えた。

「あいつは昨日、眠ってない。
 翼の騎士たちを迎えるために、徹夜で料理をしていた。」

「どうも。」

 彼は小さく頭を下げながら、小走りに畑のほうへ向かった。

 オニユリの茶屋の横を通るとき、昨日の長テーブルに十数人が食事をとれる支度がすっかりととのっており、とろとろと火の燃えるかまどに、ふたをした大きななべがかかっているのが見えた。

 いい匂いが鼻先に届き、彼は急に腹が減ってきたような気がした。

 昨日は食べてすぐに眠ったのに、起き抜けに空腹を感じるなど、何十年ぶりかのことだ。

(シチューかな。朝からシチューか……まあ、それもいいな。)

 足早に林を抜け、畑に出ると、夜明け前の玄妙な色あいの空を背景に、がけのふちにふたりの娘と、旅人が立っているのが見えた。

 3人はこちらに背を向け、東の空を見つめていた。

 そのとき、彼は何か違和感のようなものを感じたのだが、その正体に気付くよりも先に、オニユリが彼に気付き、振り返って「おっ、おはよう。」と言った。

 一晩かけて乾いたらしい上着を着た旅人が続いて振り返り、目礼をした。

 彼が応えようとしたその時、

「あれを!」

 星の娘が、空の一点を指差して叫んだ。

 東の空遠くに、いくつもの黒い点が見えた。

 彼がもっとよく見ようとして目を細めたとき、太陽が姿をあらわし、洗われたような強い光が射しこんで、一同は手を挙げて目をかばった。

「眩しいわ! でも、きれい。」

 朝日のまばゆい輝きから目を守ろうとするように、星の娘がくるっとこちらを向き、彼は思わず、あっと声をあげそうになった。

 彼女の姿が、昨日とは変わっていた。

 髪の色や肌の色は同じだが、その表情からは若い女性特有の鋭く匂い立つような雰囲気が消え、もっと幼く、開けっ広げな顔つきになっていた。

 ぐっと背丈が低くなり、髪が伸び、手足はほっそりとし――

 つまり、彼女はかつてはこうだったのだと、彼は思った。

 ターミナルで初めて出会ったときには、彼女はすでに娘の姿をしていたから、実際に見たことがあるわけではない。

 にもかかわらず、これが、彼女が少女だった頃の姿なのだと、彼には確信することができた。

 驚きと混乱が、同時に彼の心を襲った。

 なぜ、こんなふうに彼女の姿が変わったのだろうか?

 なぜ、この明らかな変化について、オニユリや旅人は何も言わないのだろうか?

 逆光の中でにっこりと笑った星の娘の前歯が一本抜けているのを、彼は信じられない思いで見つめたが、次の瞬間、稲妻のようにあることがひらめいた。

 彼は自分の手のひらを見、それから手の甲を見た。

 多くの皺が刻まれ、しみだらけだった手の甲は、ぴんと張り、生き生きとした血色を取り戻していた。

 女のように、つくづくと自分の頬に触れてみて、彼は、自分もまた若かりし日の姿に戻っていることを知った。

 あまりにも驚きが大きかったために、かえってぼうっと突っ立っていた彼は、オニユリが何か叫んでいることになかなか気付かず、もう少しで畑の土の中に突き倒されるところだった。

「よけろ、よけろ、場所をあけろ!」

 4人は、畑のそれぞれの隅に大きく散らばった。

 そこに、ほとんど音もなく、巨大な翼を広げた影が舞い降りてきた。

「おおっ!」

 彼は思わず声をあげた。

 翼の騎士たちの着陸は、驚くべき光景だった。

 彼らは大きく間隔をとった、完璧な一列縦隊で畑に滑り込んできた。

 胴と、頭と、腿の一部を金属の鎧兜で守り、肘から先と膝より下を革の防具でかためた騎士たちは、めいめいの背中にコウモリに似た形の大きな翼を背負っていた。

 それは木と、ばねと、綱と、ごく薄い革で作られており、この上なく頑強にして精巧な折り畳み傘に似たものだった。

 はじめの騎士は、長大な槍を地面と平行に寝かせて持ち、ほとんど崖の上の地面と同じ高さから突っ込んできた。

 そして地に足がつくと同時に、つき出たレバーを力強く引いてすばやく翼をたたみ、その勢いのまま畑の中を駆け抜け、ずっと奥の方まで行って、ようやく止まった。

 見ていた4人は、思わず歓声をあげ、惜しみない拍手を送った。

 次の騎士も、さらに続く騎士たちも、同じように巧みに着陸していったが、最後のほうの騎士たちはどうも腕前があやしく、突っ込んでくる角度が急すぎたり、畑のうねに足をとられたりして、畑の土に突っ込んでしまった。

 一番最後のひとりが、一番の下手くそなのだろうか、と彼は思わず心配したが、その騎士は、着陸の瞬間に体を起こして、ふわりと軽やかに、まるで今そこの扉を開けて歩いて出てきた人のように、なにげなく地面に降り立った。

 その技が一番すごいということは、見ただけで感じられたし、先に着陸していた騎士たちの態度からも、その人物が最も尊敬されているということがはっきりと分かった。

 彼らは――転んだ者は慌てて立ち上がって土を払い――長い槍を立てて整列し、ゆっくりと歩いてきたその人物を迎えた。

 星の娘も、旅人も、そして彼も、目を皿のようにして騎士たちの姿を見つめた。

 彼らはみな、鎧の下に空色の服を着ていた。

 深く下ろした兜の面頬は猛禽のくちばしのような形をしていて、顔は分からなかった。

「番号ッ!」

 突然、端に整列していた騎士がそう叫んだ。

「1!」「2!」「3!」「4!」「5!」……

 まるでひとりの人が数えているように、全くつっかえずに数が続き、

「異常ありません! 礼!」

 と、端の騎士が締めくくり、全員が敬礼をした。

「よろしい。」

 と、最後に着陸した騎士が返礼しながら言ったとき、彼は、思わず星の娘と顔を見合わせた。

 その声は、凛々しく、やや低くはあったが、明らかに女性の声だったからだ。

「東の山脈での訓練はこれで終わる。
 厳しいことも多かっただろうが、皆よくやった。
 今から夜まで自由時間とする。
 夜の祭りまで、しっかり体を休めておけ。以上。」

「礼!」

 騎士たちは再びそろって敬礼し、返礼された瞬間に、全員、その場に突っ伏した。

 それも、翼をいためることがないよう、全員がいっせいに前に体を投げ出して畑に寝そべったのだ。

「ああーっ、きつかったぜぇ!」

「疲れたあ!」

「おれ、ちょっとこのまま眠ろうかな……」

「エレクトラ!」

 オニユリが満面の笑みを浮かべて、ひとり立っていた最後の騎士に駆け寄った。

「おかえり。大変だったろう。」

「久しぶりだな、オニユリ。」

 騎士はそう言って、畑の地面に勢いよく槍の石突きを突き立て、かぶっていた兜を脱いだ。

 炎のように真っ赤な肩までの髪がばさりと広がり、獅子のたてがみのようになった。

 その目は雪の王と同じ青で、きりりとした顔立ちにいっそうの鋭利な雰囲気を与えていたが、表情はくつろいでいて、親しみを感じさせた。

「今日は、ずいぶん客人が多いな。」

「ああ、この人たちは、昨日、川を渡ってきたのさ。
 みんな、紹介するよ。
 この人は、翼の騎士団《夜明けのタカ》隊の隊長、エレクトラだ。
 空中戦では、誰にも負けたことがない。」

「すごく、かっこいいわ!」

 星の娘が、憧れのまなざしで叫んだ。

「こういう翼で空を飛べるなんて、知らなかった。
 あたしもやってみたい!」

「本当に飛べるようになるまでには、長く厳しい訓練が必要だ。」

 エレクトラは笑って言った。

「高いところから飛び下りて、たった五つ数えるあいだ、墜落せずにいるというだけでも、はじめはこの上なく難しいのだ。
 そこでのびている私の部下たちのうち、3人は、今日でようやく飛ぶための訓練を終えた。
 東の山脈からここまで、地面に一度も足をつけずに飛ぶことができたのだから、合格だ。
 ここまでに2年かかったが、これより先はさらに難しい。
 一生をかけて、空中戦の技に磨きをかけていくのだ。」

「あのう、その翼、近くで見てもいいですか?」

 エレクトラが頷いたので、星の娘は彼女の後ろにまわり、折り畳まれた翼に顔を近づけて、しげしげと見つめた。

「骨組みが木でできているわ。すごく重そう。
 これを担いで立っているだけでも、大変なんでしょうね。」

「いいや、この骨組みは、この上なく軽くて丈夫な木材からできているのだ。
 担いで立つだけなら、誰にでもできる。」

「――〈風の木〉だ。」

 旅人が、ひとりごとのように呟いた。

 彼が思わずそちらを見ると、旅人は珍しくも少し動揺したような様子を見せ、目を逸らして言った。

「あの翼の骨組みは、俺の故郷に生える木から作られている。
 色や木目を見れば分かる。」

「遠い昔に、」と、旅人の声が聞こえていないエレクトラは、星の娘に向かって熱心に説明を続けた。

「我らの王国は、ある国と同盟を結んだ。
 今は互いにほとんど往来もないが、その盟約は今も生きていて、いざ、大きな事が起こったときには、互いに助け合う約束になっているのだ。
 同盟が結ばれたとき、庭の王国は、その国に枯れることのない魔法の泉をひとつ贈り、その国は、庭の王国に貴重な木材を贈った。
 その木材は今でも薔薇の城の宝物庫に大切に保管され、新しい翼を作るときにだけ、少しずつ取り出して使われる。」

 少し離れてそれを聞いていた旅人の顔に、喜びの色がさっと広がった。

「あの泉か。そして庭の王国の人々は、父祖たちからの贈り物を今も大切にしてくれているのだな――」

「おーい! みんな!」

 急に、お茶屋のほうからオニユリの声が聞こえて、一同はいっせいに振り向いた。

 彼女はひとりでさっさとお茶屋のほうに戻って、色々と準備をしていたらしい。

「朝飯のしたくができたぞっ!」

 その声を聞いたとたん、今の今までのびていた翼の騎士たちが我先に立ち上がり、オニユリのお茶屋に向かって猛然と走り出した。

 エレクトラは肩をすくめた。

「仕方のない連中だ。――だが、無理もない。
 今まで3日間、食事といえば、飛びながら干し肉と干し果物と穀物菓子をかじるだけだったのだからな。」

「飲み物は?」

 星の娘がびっくりして訊いた。

「海鳥が魚を獲るときにするように、湖や川の水面すれすれをかすめて飛び、その一瞬で水筒に水を汲むのだ。
 眠るのも、飛びながら交替で眠る。綱で、仲間に引っ張ってもらってな。」

 エレクトラは何でもないように答え、地面に突き立てていた槍を引き抜いた。

「ああ、私も腹が減った!
 まともな食事と温かい飲み物は、この上ないもてなしだ。
 見習いたちは、飛びながら、オニユリの茶屋のことを夢にまで見ただろう。
 もちろん私もだ。――さあ、行こう!」



【庭の王国への旅⑳へと続く】



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